その夏はワナカという人口1000人位の小さな町に一軒のコテージを借り、撮影に入る事になったのです。
そのコテージは4部屋しかないコテージなので、オーナーの家も借りる事になりました。
オーナーは週2回のシーツ交換と掃除にやってくるだけで、後は我々の自由になるという最高の環境でした。
最初の事件はこのコテージに到着した初日に起こりました。
出演スキーヤーで一番霊感の強い彼女が到着した夜、ミーティングが終了するとスタッフのそばにやってきてこう言いました。
「ここには小さな女の子の霊がいるよ」
スタッフ全員唖然としました。
彼女が部屋で着替えをタンスに整理していると、ベットの片隅に金髪のかわいい女の子が彼女をじっと見ていたそうです。
霊体験の多い彼女だったので、別段気にも止めずそのままタンスに洋服を入れていると、隣までやってきて彼女の耳元でよく分からない言葉を残し消えたそうです。
「でも私は特別、霊感が強いから感じるだけかもしれないから、あまり気にしないで」
彼女はスタッフにそう告げると去っていきました。
彼女の霊体験はかなり怖いものが沢山あり、今回はそれに比べると全然平気なものだったので、我々もあまり気にせずいたのです。
が、それから3日後、スタッフの一人が洗濯室で洗濯している時の事です。
入り口に小さな人影があるのに気づき、彼女の話を思い出したらしく、大声を上げてリビングのスタッフルームに入って来ました。
「出た、出た」
そう言うなり、今体験した話をしようとするのですが、じっくり体験したわけではないので、話がうまく伝わりません。
その後も、ほぼ全員が何かしらの気配を感じたり、黒い影を見たという話はミーティングの後に出ました。
しかし、彼女の見た金髪のかわいい小さな女の子の姿は誰も見なかったのです。
唯一、霊感の強い彼女だけが時折、女の子が姿を現した時の状況を説明したのですが、女の子が何を言っているのかは分からないという事でした。
そして、1ヶ月近い合宿撮影を終え明日が最後という晩。
普段は自炊なのですが、打ち上げを兼ね100km先の町にある日本料理屋に全員で出かけました。
私は制作の責任者であるという事で全ての電気、戸締りをチェックした後、最後の車に乗って出かけました。
打ち上げを終えコテージに戻ってきたのは、夜11時過ぎ。
4台の車に分乗して乗った車の先頭を運転していたのは私。
そしてコテージが見える最後のカーブを曲がった時に見えたコテージは、全ての部屋に明かりが灯り煌々と輝いていたのです。
コテージが建っていたのは畑の真ん中で、近所には一切建物が建っていないのです。
ニュージーランドの暗い夜道を通って帰ってくると、時折コテージに入る曲がり角を間違えるくらいの暗闇のはずなのに、その日は違っていたのです。
でも最後にコテージを出たのは私、それも全ての電気が消えている事を確認した後、しっかり鍵をかけて出たのです。
じゃ誰かがいるのか?
コテージに到着するなり玄関へ。でも鍵はしっかり掛かっていました。
中に入り大声で人がいるかどうか確かめると当然のように返事はありません。
この事実を知っているのは、最後に出かけたスタッフ4名で最初に到着した人ばかり。
その顔は、信じられない状況に遭遇した時のような唖然とした表情ばかり。
でも次の車で帰ってきた霊感の強い彼女が酔っ払った大声で、笑いながら話しました。
「今、入る時2階の私の部屋の窓から女の子が手を振っていたわよ。すごく嬉そうだったの、うふふ」
その後、スタッフルームになっている1階のリビングルームに全員集まって、再度飲み直しをする事にしたのです。
不思議な事に誰もが今回の霊体験を話し出すのです。
実は、という話の多さもさることながら、誰もが体験し見た霊は全て同じでした。
そして最後に全員集合の記念写真を撮ろうという事になり、タイマーをセットしたカメラに向かって全員でポーズを取り、フラッシュが焚かれた時です。
リビングルームから庭へ出られる扉が、大きな音をあげながら開き、そしてゆっくり閉まったのです。
全ての人が目撃したのですが、女の子が出ていく姿を目撃したのは、この合宿で女の子の霊に出会った人たちだけでした。
私は最後まで女の子の姿を目撃できず、扉が開き閉まるまで、何も見えず扉の動きだけ見えていました。
そして、もしかしたら写っているかも知れないと誰もが期待した記念写真には、怪しいものは一切写っていなかったのです。
不思議な体験でしたが、大勢の人間が同じ体験をした数少ない例だと思います。
残念ながら、翌年はそのコテージを借りる事もできず、またオーナーもすぐ変わったらしいのです。
そして、女の子はいったい何者なのかは現地スタッフも分からずじまいなのです。
08/29[ニュージーランド]
大勢での目撃例。見えた人見えなかった人、どちらも同じ恐怖感を味わったと思います。
機会があったら、訪れてみたいです。
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