先日、新潟県の五頭山(ごずさん)に雪山散歩を兼ねて、妻と子供と遊びに行きました。
少年自然の家に車を停め、小さな橋を渡り、登山道の入り口まで歩きました。
スノーシュウを履き、真っ白な雪の上を足跡を踏みつけながら登って行きました。
子供は喜んで歩き回ります。細かく歩いてみたり、ジャンプしてみたり。
私も子供に合わせて飛んだり跳ねたりしていました。
山開き前も前、こんな時期じゃなきゃ、こんな大騒ぎは出来ないよな。
そう思いながら、「時間が遅くなるから早くトイレのある所まで行って、見れたら滝を見てこよう」と言った時だと思います。
私達よりちょっと離れた上の方に、おじさんと、おばさんらしい人影を見ました。
同じ事を考える人もいるもんだ、こんな雪の中で。さては、私達同様スノーシュウを買って試したくなったか?
そう思うと、それを妻に告げました。
「きっとそうだ、きっとそうだ」
私達家族は話していました。
その後もチラリとおじさん、おばさんが見えていました。
おじさんは、カーキ色のズボンにカーキ色のベスト。
おばさんは、ベージュにグレーの細かい模様の入った上着に、ブルーのナイロン製のズボン、黄色い帽子をかぶっていました。
「仲の良い人達だ、年取ってもああやって遊んでいるのはいいよねぇ〜」と見ていました。
頂上というか登山道入り口付近まで、あと3分の1残した辺りでしょうか、小さな湧き水の流れる凹みの歩道辺りです。
「うぉーい!!」
男の人の声がしました。私達が登ってきた下の方からです。
しまった、熊かもしれない…。
という不安はすぐ無くなりました。またまた男女二人組です。
50代のお父さんお母さんで、お父さんがお母さんを呼ぶ声でした。
もののわずかで、お父さんとお母さんは私達に追いつきました。
「珍しいねこんな時期に、不審人物かと思った。自殺なんてされると困るから」
「自然の家の方ですか?」私は聞きました。
「違う…昔さ、若い女がさ、便所の脇の木で首吊ってさ、大変だったんだ」
「お父さん達は村の監視員の方ですか?」
「いいや違うんだ、ちょっと前にね友達亡くしてね。遭難したんだ。この上の駐車場に遺体降ろしてさ、だから花もってお参り行くんだ」
意外な話にちょっと白けた私達は、取りあえずお父さんお母さんと登っていきました。
「あれ? トイレ無くなったんですね」とか「滝には行けないよ」と、20〜30分ほど居て、一緒にお参りもしました。
そしてまた、5人で道を下って行きました。
そういえば、先に登っていたおじさんとおばさんいなかったなぁ。
駐車場に着いてふと思いました。
そこで、今別れたばかりのお父さんお母さんに聞いてみました。
「あんた方の足跡しかなかったよ、天気がいいから雪に反射して目が眩んだんさ」
そう答えると帰ろうとしましたが、大きく息を吸って戻ってきました。
変なこと言っちゃたな、しかも友達のお参りに来てるのに、と思っていましたが、お父さんは、仕方ない話すかといった感じでこう話してくれました。
「俺の友達夫婦だよ、俺も見てるんだ。よく、お参り来るとたまに俺達の前を歩いてんだ。恐いものじゃ無いよ、心配しないで」
私達は、たまたま来て、亡くなったおじさん夫婦と、後から来たお父さん夫婦の間を歩いてたから見たんだね、と話しながら帰りました。
雪が積もっていなきゃ別に気にならないことだったんですが、前を歩く人達の足跡が無いのでは仕方ありません。
まぁ、昼間見た事なので恐いということはなかったですが、皆さんも前を歩く人の足跡には気を付けましょう。
あと、お父さんの「うぉーい」という声は、お父さんの声だったのか定かではありません。私達が間にいるのが、おじさん達には気に入らなかったのかも…。
何の戸惑いも無くお父さん達とお話ししたのも、なんだか不思議ですし。
たまたまなんでしょうかね?
03/10[c-chan@]
一緒におまいりもしたし、きっと何かの縁あって、そこに居合わせたのでしょう。
雑誌『ほんとにあった怖い話』ファンページ「ほん怖本舗」。情報交換しましょ。
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