Kは遺伝性のある重い内臓疾患を患い、暫く入院していました。
半年ほどの入院で、随分とやつれてしまい、無事退院出来ても自宅療養してました。
その頃から、何やら幻覚を見る様になり…。
夜中、寝ていると、自分を呼ぶ声がはっきり聞こえるので、目を覚まして返事をしたが誰も居ない。
何度かその事が続いたが、ずっと入院していた事もあり、疲れから幻覚でも見てるんだろうとしか思わなかった。
Kは霊感がありますが、いわゆる霊的な感じはしなかったそうです。
ある晩、また自分を呼ぶ声が聞こえ、無視していた。
すると、部屋の襖が開き、見た事の無い知らないオヤジが立っていた。
そして、寝ているKを見下ろし、Kの名前を呼んだ。
これには流石に驚いたそうです。
それ以後、知らないオヤジは時々現れ、Kを呼ぶ声だけする事もあれば、出張でK以外誰も居ない家の中を、そのオヤジと思しき奴が歩き回ったりと、幻覚が酷くなってきたと思ったそうです。
まだその時は、Kは幻覚と決めつけていたのです。
何故なら、霊的なモノと決めつけると、余計に現象が酷くなるし、原因があやふやになり、解決の見込みが無くなってしまう、と考えたからだそうです。
Kは、自分の不幸や因縁を何でも霊的なせいにする事に批判的で、それは逃げでしかない、というのが自論でした。
それから数週間後、その現象が収まり落ち着いた頃、何故かKの弟が意味も無くイライラしていたそうです。
理由を聞いても「何だか解らないが、イライラする」と、弟自身原因が解らず、困り果てながらイライラしているという訳の解らない状態だったようです。
二日程で不意にイライラが収まり「何だか解らないが、スッキリした」と弟は話してました。
Kが、なぜ意味も無くイライラしたのか解らず、考え込んでいたところ…。
ある晩、寝ていると、Kは突然イライラしたそうです。
もう何だか解らなくて、どうしようもなくイライラ、しかしその原因が判らない。
取りあえず、落ち着け落ち着けと、ひたすら思い、自分で自分を必死に押さえ込みながら、一人唸り声をあげてジッと我慢していました。
すると、心の奥底から、K自身の意思が「うるさいうるさいうるさい…」と思うようになり、遂に一人で大声でわめいたそうです。
「うるさい!失せろ!いい加減にしろ!出てけ!」
その時、首筋から何かが体の外へ出た激しい衝撃が。
次の瞬間、窓が「バン!」と激しい音を立て、目に見えない「何か」が飛び出して、窓を突き抜けて外へ飛んでいった事を、彼は確信したそうです。
Kが取りあえず出した見解は…。
入院中そして退院後、一生病気の不安を抱えながら生きていく事に嫌気がさし、やや自暴自棄気味だった。
死んでもいい…生きる事に疲れた…嫌になった…などと考えていた。
だから俺は憑かれたんだろう。
あのオヤジは幻覚ではなく、本物の悪霊だろう。
退院直後の自動車事故、そして健康な弟が便所で意識を失ったり、身の回りで立て続けに起こる人間関係のトラブル…。
悪い事は重なるもんだ…けどもう疲れた…嫌になった。
そう思っていたのは、今思えばひょっとして「それ」のせいだったのでは。
彼は、そう思ったそうです。私とも半年以上、音沙汰ありませんでした。
そんな時『細木数子の六星占術』を読んで、自分の考えを改めたそうです。
生きる事の意義、人間としての尊厳、してはいけない事、如何に自分の生き方が愚かで情けない考え方だったのか。
もっと前向きに生きようと思った矢先、そのイライラ現象が起きたのです。
「俺は霊能者じゃねぇから解らないけど、多分そのオヤジは、俺が前向きに生きよう、絶対自殺なんかしねぇ。
どんなに辛くても、生きる事には必ず意義がある。
なんて考えたから、居心地が悪くなって、イライラ攻撃してきたんだろう。
また俺を以前の自暴自棄野郎に戻してやろうと思ってな」
「何で、うるさい出て行けって思ったのさ?」私は訊きました。
「どこかで、これは俺の意思じゃねぇ、ってフッと思ったのさ。
イライラする意味が解らねぇし、それにT(Kの弟)が前にイライラしてた事を思い出してさ。
Tは俺と違ってよく出来た奴だから、意味も無く『イライラする』なんて口にする事自体、あり得ない奴だからさ」
「よくイライラしながら、考える余裕があったな」
「前の俺なら、間違いなく大暴れしてたぜ。
考え方を改めて、心に余裕が出来てたんだな。
人間、考え方ひとつで何とかなるもんさ。この年になって、やっとはっきり分かったぜ。
それと先にTに取り憑いたのが、悪霊オヤジの失策さ。
それが俺にヒントを与えたのさ、馬鹿悪霊め」
Kには、とても大事にしていた車がありました。
入院して、経済状態が厳しくなっても、意固地になって車だけは手放さないと息巻いていました。
「車が無くなるなら、死んでやる」といつも私や他の友人に、事ある度に言ってました。
けど、そのイライラの一件以後、車を売る決心が出来たそうです。
維持費が凄くかかる車だから、売れば随分楽になる。
これからの生活を考えれば、つまらないプライドにしがみ付く必要は無い。
いや、将来また好きな車に乗れる様に努力するのが、筋じゃねえか、と。
その事を境に周囲の状況も少しずつ好転し、決して裕福とは言えない状況とはいえ、生活も大分安定してきたそうです。
「結果的に俺は憑かれたと思うが、だから余計に霊障だ、憑かれたせいだなんて思いたくないね。
なんでも霊の仕業にする前に、先ず自分の考え方を改める事が先決よ。
考え方一つで、ある程度解決出来る事よ。
大金を払えば悪霊を祓えるなんて有り得ない、とちゃんと本に書いてあったぜ。
現に俺は自力で追っ払ったじゃねぇか、霊能者でも無いのによ。
先ず考え方が先決だ、霊能者はそれからでも遅くねぇ
悪霊は弱い奴に取り憑き、困らせ、いたぶり、調子乗ってつけ上がるのよ。
もう一回殺すぞ、てな勢いで真っ向勝負挑むしかねぇ。
土地や先祖、因縁が絡む、本当に質の悪い悪霊こそが霊能者の出番じゃねぇのか?
もっとも、自称霊能者って奴のうち、本当の悪霊に立ち向かえる奴は、全体の何割いるんだろうね?」
この冴えた毒舌ぶりから、Kはだいぶ元気になったようです。安心しました。
皆さんはK氏の考え方をどう思いますか?
少なくとも私は、間違ってはいないと思います。
03/16[北海道在住@]
何事にも「気づき」 ですね…。
おばーちゃんが、栗を拾う夢を見ると、親戚で絶対誰かが妊娠しているんです。
だから、おばーちゃんが家で「昨日、栗拾う夢見た〜」って言ったら、必ず親戚中の女性は産婦人科に行きます(^^;
すると、絶対誰かがおめでたです…不思議です…。
さらに、おばーちゃんがお手玉(だったか)を作り、それを親戚にあげると、赤ちゃんが生まれます…不思議です。
しかも、青、緑、水色のお手玉をもらった家は、男の子が生まれます。
赤、橙色、ピンクなどでは、女の子が生まれています。
不思議です。
親戚内じゃないと効果は無いみたいですが、しつこいですけど不思議です!!
03/08/22[香@]
香さんの不思議な偶然の話(非掲載)もうかがっていますが「事実は小説よりも奇なり」でしょうか。
雑誌『ほんとにあった怖い話』ファンページ「ほん怖本舗」。情報交換しましょ。
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