彼が、100名程の学校の研修旅行でパリ市郊外のあるホテルに泊まりました。
日本の格安観光ツアーでもよく利用され、特徴を書くとすぐ分かるので詳細はお教えできません。
ポーターに部屋へ順番に案内されて、弟に割り当てられた部屋へ来たときです。
彼は、妙なことに気づきました。
その部屋だけ、二重ドアになっていて、しかも、内側のドアは外から鍵を掛ける構造になっていました。
しかも、普通のシリンダー錠の他に上下に閂錠(かんぬき)まで付いた堅牢さです。
他の部屋も見ていますが、この様なことはありません。
ポーターは、他の部屋ではカバンを中まで運んでくれたのに、カバンをドアの前に置くとさっさと次の部屋へと立ち去ってしまいました。
同室のもう一人とドアを開けて中へ入るとギョッとしました。
カーテンが閉まって暗い部屋ですが、人影が動きました。
「掃除の人だろう」と思い、灯りを点けましたが誰もいません。
友達の顔を見ると呆然としています。
友人「いま誰か居たような気がしたけど、気のせいだ」。
弟「そうか、うん、気のせいだよな、俺にも見えたけど」。(兄註:なんてノーテンキなんだろう)
とにかく、移動移動で疲労困憊なので、そそくさと酒を飲みに仲間と出かけてしまいました。
部屋に帰ってきたのが、夜の11時過ぎ。
酒の勢いで、さっきのことは忘れて(詰めが甘い)ベッドに潜り込みました。
しばらくすると、窓際のカーテンが風で動いています。
面倒でしたが、弟は起きて窓を閉めに行きました。そしたら気づいたのです。
窓の外に看板があって、ほとんど外が見えないどころか、窓は釘付けされていたのです。
隙間風さえ入り込む場所がありません。
弟は、おかしいなと思いつつ「エアコンの風でカーテンが揺れたのだろう」と自分を納得させてベッドに入りました。(鈍感な奴です)
ウトウトしていたら、バスルームのドアを開閉する音がして、続いてシャワーの音がしました。
同室の友人だろうと思い、もぞもぞしながら隣のベッドを見てギクリとしました。
誰かが、ベッドの上に座っています。人影が、か細い震えた声で言いました。
「シャワールームにいるのは誰だ?」その人影は友人でした。
弟「俺は、明日の朝浴びるよ(註:人の話の真意をくみ取っていない)」と言いつつ、二人でシャワールームを見に行きました。
中は真っ暗でした。シャワーだけ勢い良く出ています。
シャワーを止め、ベッド迄戻った途端、またシャワーが出ました。
二人は勢い良く廊下へ飛び出して、離れた部屋の後輩(弟はアメフト部所属です)をたたき起こすと言い放ちました。
「酒飲むぞ。お前ら、俺たちの部屋からスーツケースと酒持ってこい。脱いである服も全部持ってこい。シャワールームのお湯も止めてこい」と。
後輩が部屋を出た隙に、ベッドを占領して寝てしまいました。
格好悪いので、旅行中はその話はせず、日本に帰ってからその時の後輩に事情を話しました。
実は、後輩達が荷物を取りに行った時、部屋のドア下の方に女性のスカートが見えて、部屋に引っ込んだそうです。
てっきり女を連れ込んでトラブったと思い、シャワールームは覗かずに荷物だけ引きあげたそうです。
ベッドを占領された恨みもあり、後輩達は今でも自説を譲らないそうです。
なにしろ、ハッキリと見えたそうですから。
[神谷明]
カランを回す、キュッキュッという音は聞こえたかな?
Y氏の知り合いにT氏がいるのですが、その彼はよく変わった蝶々を見るそうです。
それは白い小さな蝶で、どこからともなくヒラヒラと飛んできます。
それだけなら何ともないのですが、彼は幾度もその蝶に命を助けられたそうです。
例えば道路を渡ろうとすると、彼の気を引くように飛んできた蝶に、気を取られて眺めていると、突然その道路で激しく車と車が衝突事故を起こしたり。
道に迷っていると蝶が案内をするように前を飛び、無事帰ってこれたりとか。
まあ、偶然という言葉が当てはまらなくもないのですが。
とにかくその蝶は、ここぞという時に現われて彼の苦境を救ってくれたそうです。
それは第2次大戦の時も現われたそうです。
彼は陸軍で擲弾兵(ドイツでの歩兵の呼称)として戦いました。小隊を率いる小隊長として。
しばらくして彼の隊はクルスクへ送られました。
このクルスクでの戦い(ツィタデレ作戦といいます)はドイツ側の情報漏洩によって、すっかりソ連に対策を練られ敗北した戦いです。
生産軌道にのった新型の5号中戦車のパンターや6号重戦車のティーガーI型などを多数投入することになります。
後に「最大の戦車戦」とも呼ばれる苛烈な戦いでした。
彼の隊は、敵のトーチカ(防御陣地)に対して別部隊と共に強襲するため、隘路(あいろ)を進んでいました。
分かれ道に差し掛かったとき、彼の前にあの蝶が現われたそうです。
蝶は彼等が行こうとしていた道とは別の道を進んでいきます。
彼はどちらかというと験をかつぐほうで、どちらから行ってもトーチカへ辿り着けるので、その蝶の消えた方の道を進みました。
彼等はトーチカへ辿り着き、強襲は成功しましたが、分かれ道をそのまま進んで行った別部隊は敵の野砲群の待ち伏せに遭い、集中砲火により全滅しました。
つまり、敵が予想していたルートとは別のルートを通ったので、奇襲効果を発揮したうえ、全滅はまぬがれたらしい。
きっとあの蝶は神の使いで、自分を助けてくれているに違いないと思ったそうです。
その後しばらくは現われなかったのですが、敵に撃たれて野戦病院に担ぎ込まれたときのことです。
ベッドで寝ていると向かいのベッドに寝ている人の顔の上に、ヒラヒラとその蝶が降りたちました。
翌日、その人は傷が悪化したため他界しました。
また、隣のベッドの人の顔の上にその蝶が降りたつと、その人は翌日に感染症を併発して亡くなったのです。
彼はそのとき分かったそうです。あれは神の使いじゃなく死神だと。
自分はまだ死期ではないので度々助けてくれただけなのだ。いずれ死んで行った彼等のように自分も連れて行かれるのだと…。
死期が来たらT氏の顔の上にも蝶は降りたつんでしょうかね。
とにかく今でも彼はぴんぴんしているそうです。
[Anubis]
蝶は様々な選択シーンで、不意に現れる話が多くありますね。
そのY氏のお祖父さん(Rさん)ですが、長いつき合いの友人がいたそうです。
Jさんという人で、同じ部隊に所属していたのです。まあ、親友であり戦友だったわけです。
お互い背中(後方)を預けられるほど信頼し合っていたんですが、「バトル・オブ・ブリテン」と呼ばれるイギリス本土爆撃作戦のとき、彼等も駆り出されました。
後に史実としても語られるようにドイツが大敗を喫した戦いで、戦場は熾烈なものだったらしいです。
Rさんは敵機の猛攻によって味方部隊からはぐれてしまい、雨のような弾の中をかいくぐって仲間を探しました。
追尾してくる敵戦闘機を振り切りながら、まさに死ぬ思いで交信を続けました。
その努力が実ったのか『こちらJ。R、敵さんの攻撃は凄まじい。何とか逃げ切れ。そしてまた一緒に酒飲もう』という聞き慣れた声が通信機を通して聞こえてきました。
それを聞いたとき胸に安堵感が溢れました。
「こちらR。了解した」Rさんは返信すると、また過酷な戦場へと機を傾けました。
敵機との激しい戦闘の中、幾度もJの言葉を思いだし、励まされました。
そして、帰投命令が出るまで彼は何とか生き延び基地に帰ってきました。
基地に帰った彼は、さっそく生の喜びを分かち合おうとJさんの姿を探したそうですが、彼の姿が見当たりません。
それどころか彼の所属していた部隊の影すらありません。
仕方なく、彼は辞令をもらいに指令部へ出頭しました。
そこで聞かされたそうです。彼がはぐれたあと、部隊は敵の対空砲火を浴びて全滅したということを。
しかし、あの時確かにJの通信が入ったから、生きているはずだからJを助けに行かせてくれと彼は進言したそうですが、上官は首を横に振りました。
近くにいた別部隊の生き残りが、Jの機が撃墜されたのを見たらしく、またその機体の残骸を確認したそうです。
それにまだ敵戦闘機の機影を多数確認しているから、たとえ生きていたとしても、とても救出は出来ないと言われました。
Rさんはそれ以上何も言えなかったそうです。でも、釈然としなかったのです。
それほどJさんの声には実感があり、何より彼を勇気付けてくれました。
むしろ彼が死んだということの方が実感できなかったのです。
その後、戦争終結とともに退役し、亡くなるまでJさんの死を悼んでいたそうです。
[Anubis]
極限状態で感じた友の声。その声は何者だったのか。
もう1年位前のことです。
私の友達は友達二人と夜12時近くに車で、あるレストランに行こうとしていました。
たまたまいつも使っている道を使わずに、少し細めの道を使ったそうです。
その道は山沿いで街灯もなく、車も少なかったと聞いています。
その道を少し走った頃、前に乗っていた二人が後部座席に乗っている友達に「あそこに何か見えるよ」と言いました。
そして、すれ違いざま見ると、それは車椅子に座ってヒッチハイクをしている髪の長い女性だったそうです。
3人は驚いてそのままその女性の前を通り過ぎました。
そのすぐ後、後部座席にいた友達が振り返って見たときには、もうその女性の姿はなかったそうです。
周りは山で、彼女たちの車の後ろに車はいなかったので、突然いなくなるのは絶対に有り得ないと言っていました。
私はこの話を直接聞き、その道がどの道であるかも知っています。
しかし、この話を聞いてからは一度も通っていません。
[火星人レシーダ@jps]
ヒッチハイクする姿。アメリカならではの不思議譚ですね。
その話を耳にした私は、たまたまそこを通りがかったとき、その神様(羽の生えた河童のような姿)を見つけました。
そして、その向かい側を見たら、本当にビルの外側に大きな鏡が取り付けてありました。
トッペンパラリのぷー。
[こばと@tbnbsu]
神像の正体とは如何に。
さて、ヴェネチアで、牢獄から刑場を結ぶ橋をバイロンが『ためいき橋』と名付けたことや、歴史上ただ一人、ヴォサノバのみが脱獄に成功したことで有名なドージェ宮を観光した時のことです。
童顔の私達は、海外に行くと子供扱いされ、ガイドさんにもすぐちょっかいを出されるのです。
この時もガイドさんは、いつも私達のそばで、ちょっかいを出していました。
牢獄に入れようとしたり、拷問場でお化けのマネをして怖がらせたり。
そんなわけで、その拷問場でガイドが「こういう風に拷問にかけられたのです」と磔にされたふりをした時、背後で友人が「ヒッ」と声をあげたのが聞こえましたが、それほど気にしませんでした。
驚かされたのが効いたのかなって思ったのです。
その後、死刑が近い囚人を閉じ込めておく牢獄にきた時です。
ガイドが私に、「一緒に入ってみましょうか?」と聞いてきたんです。
私はまた冗談かと思い、笑って答えようとしたのですが、その時、友人が必死に頭を振って止めているのが見えたんです。
それで、訳がわからないので、「どうぞ一人で入ってください」と答えておきました。
その日の晩、友人に何故あの時あれほど必死で止めたのか聞いてみました。
彼女は拷問場で、ガイドの体に「何か」が入っていくのが見えたのだそうです。
だから、冗談でも「一緒に牢獄へ」なんて言ってはいけないと、思ったそうなんです。
もし、私が「一緒に入る」と言っていたらどうなったでしょう。
彼女も分からないと言いますが、考えると少し怖くなります。
[ルナティック@infoweb]
結果オーライでしたね。
その頃は確か、ちょうど地味婚が流行りはじめた頃で、私達も結婚式がオプションで付いているツアーでハワイに行ってきました。
学生のとき地質学を専攻していた私は、1986年のキラウエア火山噴火のとき一度ハワイ島を訪れており、2度目のハワイでした。
オアフ島でのショッピングには興味も無い私達は、日程のほとんどをハワイ島で過ごし、結婚式の前後だけオアフ島に泊りました。
その時にあった奇妙な体験を聞いてください。
まずハワイ島のホテルでの事ですが、4泊したのですが、連日奇妙な同じ夢を見ました。
私はいつのまにか鋼鉄の扉の前に立っていて、扉がひとりでに開いて私は自分の意志とは関係なく、奥へ奥へと入っていくのです。
幾つもの扉がまるで私を案内するかのようにひとりでに開き、そして私自身は空中を滑るようにして移動していくのです。
そしてある部屋の前で必ず止り、気が付いたらまた入り口に戻っているのです。
そしてまた、全く同じ経路で同じ扉の前まで来るのです。
幾度となく繰り返し、とうとう最後の夜に壁の方から呻き声が聞こえてきたのです。
日本語の男の声で、それは壁にかかった変な絵画から聞こえてきました。
始めは呻いてばかりだったのですが、最後にその声は「この絵は誰かがここへ持ち込んだのだ」と言いました。
だからどうしたのかとかどうしろとか、それ以上は何も言わなくて、何の事だか分かりませんでした。
オアフ島に戻った私達は、結婚式のために朝から衣装の着付けをしていました。
そして部屋で何枚か写真を撮りました。
その時何を思ったか、私は鏡に向かってシャッターをきりました。
帰国後、写真を現像してびっくり!!
彫りの深い顔立ちの外国人男性の顔が、鏡にクッキリではありませんか。
あまりにも恐かったので、除霊してくれるというおばさんに写真を処理していただきました。
恐くて持っていられないし処分もしづらいので…。
そのおばさんは母の知り合いで、以前実家の土地を御祓いしてくださった方でした。
余談でちょっと笑える話ですが、そのおばさんに後で聞いた話です。
写真の男性を除霊しようとしたら突然英語でまくしたてられ、焦ったおばさんは、日本人から除霊するから待ってくれと言って、順番待ちしてもらったと言っていました。
私にはその辺のやり取りは良く分かりませんでしたが、取りあえずその後何事も無くその件は終わりました。
変な話ですみません。
[虎猫@vuplzp]
海外では像・絵画・宝石といったものにまつわる怪異譚が多いですね。
ところで、持ち帰った石のために災難に遭ったという有名な話は、ここの火山でしたっけ?
夜、ふと目を覚ますと、真っ暗な部屋の中でルームメイトが、じっとドアの前に立ってドアを見つめています。(実はこの時が一番怖かった)
「おまえ、何やってんだよ?」と聞く俺に「おい、ドアの向こうに誰かいるぞ」と答える彼。
聞くと、彼はドアの開く音で目を覚まし、不思議に思いながらも起きてドアを閉じに行ったそうです。
確かにガチャリとドアを閉じてベッドに戻ろうとする彼の背後で、ギィィーとまた開くドア。
ドアの外の廊下を見渡しても、誰もいない。
それを2度ほど繰り返し、彼は眠れなくなってドアをじっと見つめていました。
「んなバカな」と言って彼の隣りでドアを見つめた俺の目の前で、ギィィーと確かにドアが開きました。
誰もいないのに。
その後、同じような事は二度と起こりませんでした。
休日の午後、部屋でゴロ寝していた俺の部屋に、一人の日本人の女の人が訪ねてきました。
そして「○○くん(友達の名)、いますか?」。
「そこの部屋だけど。今は出掛けてるみたい」。
「そうですか。じゃあ、私は○○寮の○○号室にいるから、伝えといて下さい」。
そう答え、彼女は帰っていきました。
友達が帰ってきたところでその事を伝えると「女? よし、すぐに会いに行こ」。
…行った先は、黒人男性の相部屋でした。
「かつがれたのかな。凄く綺麗な人だったけど」。
そんな話をしていた夜。
窓の外の真っ暗な闇の中を、黒装束を来た彼女が歩いてゆくのを見ました。
黒魔術だか、なんかよく分からないけどそんな時に着る服。
その後、彼女の姿を見る事はありませんでした。
ちなみに、その友達は元気です。(笑)
食堂で昼飯を食って寮まで帰る途中、大学構内を歩いていると、後ろから名を呼ばれました。
振り向くと、同じ寮の友達が3人、50メートルくらい後ろで手を振っています。
俺も手を振り返しましたが、どうせ帰る寮は同じなので、そのまま立ち止まらずに歩いていきました。
途中でその3人は道を外れ、左手の芝生を斜めに横切っていきます。
「どこ行くんだ? あいつら」。
…そして部屋に戻ると、3人組が俺の部屋でトランプをしていました。
「おまえら、早いな!」と驚く俺に、「は? 今日は昼飯も行かずにここで遊んでたから」って。
確かに、服装までが俺の見たのと違う。
じゃあ、あれは誰だったんだよー。
ある夜、友達の部屋で何人かが集まって他愛ない話をしていました。
その友達の部屋は一人部屋で、しばらく話した後、俺達はそれぞれの部屋に戻って寝る事にしました。
そして次の朝。
食堂で朝食を食っていた俺達のところに、その友達がやってきて「おまえ、昨夜はちゃんと自分の部屋に戻ったよな?」と、俺に聞きます。
「当たり前だろ。ちゃんと戻ってぐっすり寝たよ」。
彼が言うには、
「昨夜おまえらが帰った後、俺も寝ようとして明かりを消してベッドに入ったんだ。で、ふと横を見たら、ドアの所におまえがいる。
『何だよ? 何か忘れ物か?』って俺が聞いても、おまえ何も答えない。ただ、ドアの前でニヤニヤ笑いやがって。
気になってよーく見たら、首から下が無いんだよ!! おまえの頭だけが、ドアの前に浮いてやがった!!」。
シャレんなんないぞと思いました。そいつがウソをついてる事を信じたかった。
でも、そいつはその夜から部屋を出て、他の友達の部屋で寝るようになった。
これは冗談やイタズラじゃないらしい。
[RYUS]
ドッペルゲンガー(分身)かも。
「くっそー、気付いてくんないかな、誰か」そう思った時でした。
横を向いて寝ている俺の肩に手が置かれ「この人、ホントに寝てるの?」って女の子の声が、耳元で、しかも日本語で聞こえたんです。
アメリカでは日本人の女の子なんて知り合いにいなかったし、「こりゃあ、何が何でも起きねば!」という強い意志が、金縛りをも解き放ちました。
だいたいが霊的なものを信じていないタチで、お経なんてよう知らないから、体が動かなくなったら力まかせです。
というより、いったん体全体の力を抜いて、自分の体の感覚を無理なく感じ取れるようになったら、一気に起き上がる。
後は、起き上がろうとする何かのキッカケですね。たとえ不純でも。
その時も「うぉっー!!」って感じで体に力込めて、固まった体をゆっくり起こしていきました。
なんとなく体が縛られてるというより硬直してるような感じだったけど、ゆっくりゆっくり起き上がって、半身を完全に起こす寸前には金縛りも解けてました。
で、目の前の壁にかけてある鏡がすぐに目に入って、そこに、やたら背の高い男の後ろ姿が映ってるのを見ました。
友達にそんな奴がいるんです。
「やっぱりみんないる!」って確信して、ふっと横を見たら...そこにはだーれもいませんでした。
慌てて部屋を飛び出し友達の部屋に行くと、声を聞いたはずの友達はみんなで麻雀中。
「俺の部屋、来なかった、よな?」と聞く俺に、怪訝そうな顔、顔、顔。
で俺、その後で、俺が金縛りに遭っている間、自分のすぐ後ろで楽しそうに話してた連中の会話の内容を思い出そうとしたんです。
確かに聞いてたはずだから。
でも、不思議な事に思い出せない。
なんでか知らないけど「家に帰ろう」って相談をしてたような、そんな記憶だけがおぼろげにある…。
[RYUS]
女の子は何者だったのでしょうか。
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